'08 大統領選 RACE 選挙と人種が映すアメリカ

朝日新聞記者を経てUCLAとUCバークレー大学院でアメリカ黒人研究を専攻、修士号。ロサンゼルスを拠点にオバマとヒラリーの対決を取材中。2008年アメリカ大統領選(レース)を人種(レイス)で読み解く。

女が「涙」を見せるとき

2月3日、ペイトリオッツとジャイアンツがNFLの頂上対決に臨む頃、ロサンゼルスでは霧雨の中、9000人がUCLAの体育館を取り巻いた。オバマ夫人のミシェル、ケネディ元大統領の娘キャロライン、人気TV司会者オプラ・ウィンフリーが揃う集会に並ぶ人たちだ。民主党の有権者の約55%は女性。ヒラリーの支持基盤を崩したいオバマ陣営は、「女たちのスーパーボウル」と名付けたこの集会に期待した。会の詳細が発表されたのは前日の夕方のこと。口コミで集まった多くの女性たちは、オプラが約1カ月半ぶりに「沈黙」を破るのを待っていた。
PageTop

ビル・クリントンの「ダンス」

1月21日、サウスカロライナで行われたCNNの討論会で司会者がオバマに質問をした。黒人の間で人気が根強いビル・クリントン前大統領について、黒人女性ノーベル賞作家のトニ・モリソンがかつて「初の黒人大統領」と呼んだことをどう思うか、と。「ビルのダンスの能力を見てからでないと、彼が本当のブラザー(黒人男性の意)かどうかは判断できない」と、オバマは冗談で返した。緊迫した議論が続いていた会場に、初めて笑い声が起こった。しかし、聴衆の中の黒人たちは困惑した表情に見えた。初の「黒人」大統領を目指すオバマが、「白人」であるビルと「黒人らしさ」を競わされる。そして、「黒人らしさ」は典型的なステレオタイプ「黒人=ダンスが上手い」をなぞったジョークに集約されたからだ。
PageTop