'08 大統領選 RACE 選挙と人種が映すアメリカ

朝日新聞記者を経てUCLAとUCバークレー大学院でアメリカ黒人研究を専攻、修士号。ロサンゼルスを拠点にオバマとヒラリーの対決を取材中。2008年アメリカ大統領選(レース)を人種(レイス)で読み解く。

「ブルーカラー」の抵抗

「ペンシルベニアには保守的な白人がいて、黒人候補(オバマ)に投票しない有権者も多いだろう」。ヒラリーの有力支持者であるエド・レンデル同州知事が地元紙にそう語ったのは、2月上旬のことだった。同州の人口の8割を占める白人の大半は、ドイツやアイルランド、イタリア、ポーランドなどにルーツを持ち、裕福な特権階級の白人と区別して「ホワイト・エスニック」と呼ばれる。小さな町で鉄鋼や自動車産業を支えてきた労働者階級だ。高齢者とカソリック信者が多く、所得も学歴も低い。銃所有や中絶の是非をめぐって保守的な価値観を示し、80年代レーガン支持に回ったことから「レーガン・デモクラッツ」ともいう。全体数は減っているが、民主党のホワイトハウス奪回に欠かせない有権者層だ。
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裁かれる「ブラックネス」

「God damn America!」(アメリカに神の呪いあれ)。そう叫ぶ黒人牧師の姿がTVに流れ始めたのは、3月13日だった。オバマが通う教会の元牧師ジェレマイア・ライトが、過去の説教でアメリカの人種差別や白人支配層について批判を繰り返していた、とABCが報道。大騒ぎが始まった。ライト師は、シカゴのサウスサイドにある大規模教会で30年以上牧師を務め、黒人コミュニティーの中心的存在になってきた。オバマとミシェル夫人の結婚式や2人の子供の洗礼を執り行い、オバマが「スピリチュアルな師」と仰ぐ人物だ。黒人解放神学の流れを汲み、時に過激なレトリックを使うことは以前から知られていた。

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「ホワイトネス」の苛立ち

3月11日、ミシシッピの予備選でオバマは61%対37%でヒラリーに勝った。黒人票の92%がオバマに、白人票の70%がヒラリーに投じられ、予備選を通じて人種のラインが最も色濃く出た結果になった。しかし、その日、朝からメディアを賑わせたのは民主党の大物、ジェラルディン・フェラーロだった。下院議員だった84年、モンデールの相方として女性で初めて2大政党の副大統領候補に選ばれた(結果はレーガン&ブッシュに大敗)。今回の選挙ではヒラリーを支持し、資金集めを担当。そのフェラーロが、ロサンゼルスの地域紙に次のような発言をしていたことが明らかになったのだ。
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