2月5日夜、ロサンゼルスのオバマ支持者たちはハリウッドのクラブに集まり、敗戦に終わったスーパーチューズデーの投票結果を悔しそうに眺めた。「敗因は、ラティーノだよ」。半年前から黒人地区の選挙区キャプテンとして動き回ってきた若者が言った。カリフォルニア州予備選を52%対43%で制したヒラリーは、投票総数の約3割を占めたラティーノ票で、オバマを67%対32%と突き放した。オバマ陣営でラティーノを束ねる労組の幹部は「これでもよく差を詰めた方だ。もう少し時間があったら……」と肩を落とした。
◆ 白いターバン ◆
2月25日、保守系ニュースサイト「ドラッジ・リポート」に1枚の写真が載った。頭に白いターバンを巻き、半身を白い布で包んだオバマの姿。06年にケニアを訪れてソマリアの長老の装束を着た時のもので、ヒラリー陣営スタッフがEメールで送ってきたと同サイトは伝えた。9・11以降、アメリカ人の意識には「ターバン=イスラム=テロリスト」のイメージが刷り込まれてきた。写真流出には、オバマをイスラム教徒だと思い込ませる意図があると見たオバマ陣営は、「対立と恐怖を煽る恥ずべき行為だ」としてヒラリー陣営に抗議した。
2月25日、保守系ニュースサイト「ドラッジ・リポート」に1枚の写真が載った。頭に白いターバンを巻き、半身を白い布で包んだオバマの姿。06年にケニアを訪れてソマリアの長老の装束を着た時のもので、ヒラリー陣営スタッフがEメールで送ってきたと同サイトは伝えた。9・11以降、アメリカ人の意識には「ターバン=イスラム=テロリスト」のイメージが刷り込まれてきた。写真流出には、オバマをイスラム教徒だと思い込ませる意図があると見たオバマ陣営は、「対立と恐怖を煽る恥ずべき行為だ」としてヒラリー陣営に抗議した。
2月3日、ペイトリオッツとジャイアンツがNFLの頂上対決に臨む頃、ロサンゼルスでは霧雨の中、9000人がUCLAの体育館を取り巻いた。オバマ夫人のミシェル、ケネディ元大統領の娘キャロライン、人気TV司会者オプラ・ウィンフリーが揃う集会に並ぶ人たちだ。民主党の有権者の約55%は女性。ヒラリーの支持基盤を崩したいオバマ陣営は、「女たちのスーパーボウル」と名付けたこの集会に期待した。会の詳細が発表されたのは前日の夕方のこと。口コミで集まった多くの女性たちは、オプラが約1カ月半ぶりに「沈黙」を破るのを待っていた。
1月21日、サウスカロライナで行われたCNNの討論会で司会者がオバマに質問をした。黒人の間で人気が根強いビル・クリントン前大統領について、黒人女性ノーベル賞作家のトニ・モリソンがかつて「初の黒人大統領」と呼んだことをどう思うか、と。「ビルのダンスの能力を見てからでないと、彼が本当のブラザー(黒人男性の意)かどうかは判断できない」と、オバマは冗談で返した。緊迫した議論が続いていた会場に、初めて笑い声が起こった。しかし、聴衆の中の黒人たちは困惑した表情に見えた。初の「黒人」大統領を目指すオバマが、「白人」であるビルと「黒人らしさ」を競わされる。そして、「黒人らしさ」は典型的なステレオタイプ「黒人=ダンスが上手い」をなぞったジョークに集約されたからだ。
LAダウンタウンの南、通称「サウス・セントラル」はカリフォルニアで最も黒人人口が集中する地区だ。高級住宅地ボールドウィン・ヒルズ、西海岸のハーレムと呼ばれるラマート・パーク、92年暴動の爪痕が今も残るクレンショウなど、大小のコミュニティーが広がる。ここに住む黒人たちは1月第3月曜のキング牧師の祝日を、誇りを込めて「キングダム・デー(王国の日)」と呼ぶ。合い言葉は「Make it a day on, not a day off」。単なる「休日」ではなく、むしろ、キングの遺志を継いで「働く」日だ。キングの名がついた大通り約2・3マイルを様々な団体がパレードする。